2012年11月05日
思い出
その彼は、月に1度、給料日後の週末に彼女とディナーを共にする。
毎回、必ず、2か所のレストランを予約。
待ち合わせは、帝国ホテルのバー。
フライトを終えた彼女と落ち合うと、“今日は何を食べたい?”
と、その日の好みを聞き、どちらか一方をキャンセルする。
キャンセルの電話は、バーの赤電話。
そう、20年前のお話。
まだ携帯電話はない。
“遊び人?”とも思われがちな話ですが、その彼は彼女一筋。
そんな彼のステキな心配り。
“そりゃ、落ちるわな”とは、彼女の談。
そんな彼と彼女は結婚し、海外へ赴任。
子供も2人授かり、20年の充実した海外生活を送る。
その彼が突然亡くなり、2年半。
彼女の話題は、まだ彼のことばかり。
人の数だけ思い出はあり、そしてまた、様々な人生を歩んでいるのだな・・・。